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02.04  
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うんねんまえに書いていた吸血鬼パラレル、の前日譚的な。

あきらめきれずにこんなのばっかり書いている。へへっ!

だからサイトアップができない!



色々と話の破綻とか見えると思いますが気にしないでいただけると嬉しいです。
あくまでなんちゃって吸血鬼で、なんちゃって続き話なので。


アヤナミ(×)+子ミカゲ


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満開の桜の下にいる。
大ぶりの枝に座り、薄紅と薄蒼のみを目にうつし、思考は目の前どころか数百年前に向けられた心にあるのは亡くした温もりが言っていた言葉。東洋に、枝垂れ咲く美しい花があると。
同じ品種でありながら枝垂れることのないこの木も彼が行っていたのとは違う美しさがある。
だが、この儚さは如何なものか・・。
数千もの花弁が枯れるより前に空を舞い落ちるさまは潔いとも言えるが、咲き誇って後、すぐに散ってしまう様は人にたとえるならば若いうちにこの世界を去る彼を思い出してしまう。
桜の花と違い、人の生がまた咲くことはないのだ。先にそう例えていた人の本を呼んだことがあるが、その人物もまた早々に死んでいた故に、やはり人の生を桜の花と例えるのは良くないと、アヤナミは目を細めた。
思考を現在に戻したことで、懐にある懐中時計を取り出して時間を確認する。短針が2時を少し過ぎていた。
3時には集合だと言っていたのだが、自分の周りにはまだ『弟』たちが戻ってきている気配はない。この平和な国でそこまで心配することはない。恐らく、自分と同じようにこの国の春の美しさに気を取られているのだろうと懐中時計を懐に納めて、下からの視線に気づく。
興味や猜疑心のない、ただそこにあるものを見てくるだけのような視線に疑問を感じ、その視線の先を見ると、まだ5歳にも満たない幼子の体が見える。満開の桜が、その子供の顔を隠していた。
「こんな所で何をしている。」
アヤナミが問うと、幼子はわずかに後ろに下がった。
話しかけられるとは思っていなかったのか、あるいは人形のようにでも思われたのかと眉を潜めるが、何よりも気分が害されたのはその子のそばに親らしき気配が無かったことだ。
人の住む町を一望できるこの公園ないにいるのは、己と下の幼子のみである。この公園に来るだけでも子供一人で歩かせるのは危ないところもあったのだが、その道すら一人で来たのだろうか。
「ここから探したら、母さんと父さんが見つかるかもしれないから」
・・・父親や母親とはぐれてしまったのだろうか。
顔を下に落として呟く子供からはそれがどういう意味を持っているのかは解らなかった。もしかしたら、その子供もよく理解していないのかもしれない。
「はぐれてしまったのか。」
「ちゃんと帰ってくるって行ってたのに、兄ちゃんがもう帰ってこないって言うんだ。」
「・・・それは」
「兄ちゃんが、ないてて、」
そこで子供は一度息を大きく吸って、そして吐いた。何か我慢していたものを吐き出すように勢いよく深呼吸すると、それで、と続ける。
「父さんの友達もたくさん泣いてて、父さんと母さんが居なくって寂しいんだって思ったら、父さんたち探さなくちゃって思って、それでここだったらたくさん見えるから探せるかなって。」
「もう、いい。」
アヤナミは一瞬前までこの子供が両親を亡くしていることに気づいていないと思っていたことが、間違いだと気づいた。この子供は自分の周りで起こったことを理解して、その上で納得できずにいるのだ。
声が震えだしたのに気づいて止めると、子供は大人しく声を止めた。
だが、時すでに遅し。人よりも良い聴覚が子供からもれる小さな嗚咽を聞き漏らしてはくれずに、アヤナミはなにも考えずに幹を蹴って大地に降り立った。
桜が厚く地面に占められているのか、音もせずに降り立った為子供の頭は上がらず触れれば気持ち良さそうな金草色の髪が風に揺れているのが解るだけだった。
「もう、泣くな。」
子供の前で膝をつくと少年はゆっくりと顔を上げた。
日に当たると金に見える睫に縁取られた大きな栗色の瞳に見覚えがあった。涙の中で宝石のように輝る目が私を捉えた瞬間、知らず知らずのうちに口が動く。
「ミカ、ゲ。」
頭をなでると柔らかい髪の感触が掌をくすぐる。瞬く瞳が大粒の涙をこぼしているをみたのは、これが初めてではなかった。否、初めてではあるのだが。この子は私の知っている彼ではない。
「・・・お兄さんが、いるのか。」
一度呼吸を整えて、確認するように声をかける。子供がこくんと頷いたのを確認して、指先で頬を流れる涙を拭う。くすぐったそうに身を捩る。
「ならばお前は、父と母とを亡くして寂しい思いをしている兄のもとにいなくてはいけないのではないか?お前までいなくなっては、兄は一人になってしまうぞ。」
大きな瞳がこぼれんばかりに見開かれる。おそらく子供の思考ではそんな風には考えもしなかったのだろう。
両脇にぶら下がったままだった子供の手が自身の服をつかみ声を荒げた。
「おれ、いなくならないもん!」
「お前自身はそう思っていても、何があるかわからないだろう。帰ってくると言っていたお前の父親と母親も、いなくなる気などなかったのはお前自身がわかっているはずだ」
できるだけ直接的な言葉を避けて言うと、子供は涙を流したまま顔をうつむかせた。
胸ポケットに確かハンカチが合ったはずとそれを取り出し、手だけでは押さえきれなかった涙を拭いてやる。
「兄のいる場所へ帰れ。今、お前がすることは、兄のそばにいて一緒に泣くことだ。」
感情を押さえた声は、自分でもすこし無機質に聞こえた。
こういう時は、こんな言い方では伝わらないのではないのだろうかと不安を覚えたが、子供はおとなしくうなづくと一言「帰る」とつぶやいた。
「そうか。」
言葉に乗せて、そっと息を漏らす。
子供が自身の言葉でそう言った事に、自分でも気づかない間に緊張していたのか肩の力が抜けたのだ。
散る桜が、一瞬雪に見えたのは昔を思い出してしまったからだろう。
泣くミカゲと、行けという自分。
「帰り道はわかるか?」
こくんと頷くとミカゲはやや乱暴に自分の腕で目元を拭った。見上げた瞳はまだ濡れていたが、最初の時のような不安定さはない。
これなら大丈夫だろう、そう思うと同時に、やけにじっと見られている気がして首を傾ける。どうかしたのかと問いかける前に、ミカゲの口が開いた。
「・・・あやな、み?」
声をかけるべきではなかった。桜の幻だと思ってほしかった。だがそれはかなわないと腕の中の確かな重みが物語っている。
首筋についた虫さされのようなそれを指先でかるく押して、ぼんやりと見上げてくる少年の耳元に囁く。
「公園を出た瞬間、お前はここであった事を忘れる。私の事もだ。お前は自分の家へ帰り、兄に急にいなくなったことを詫びろ。」
「おれは、こうえんをでたらここであったことをわすれる。いえにかえったら、にいちゃんにあやまる。」
自分が言ったことを反復したのを確認すると、アヤナミはゆっくりと体を離し、少年の体を公園の出口を向けた。
歩きだした少年が公園から出で、視界からいなくなるまで確認すると、長く息を吐いて桜の幹に背を預ける。
-記憶の蓋を開けるとは思わなかったー
まれに前世の記憶を持って生まれる人間がいるが、あの少年の魂は何代も前の記憶を引き出していた。おそらく、そうとう今の少年が弱っていたのだろう。よくよく見たら少年らしからぬ深いくまができていたので、眠れていなかったらしい。
しかもまだ人格形成が出来上がりきっていない時だ。
おそらく少年もあの時の記憶が浮かび上がったのだろう。この桜の儚さは、あの時の細雪を思い起こしてしまう。無碍に記憶の蓋を緩めさせてしまった己の浅はかさを呪う。あの時の記憶は、前世は、今世には不要なものだ。だから魂は今世の人生が過去の追憶とならぬように蓋をする。
先ほどで恐らく蓋はまた閉じたであろうが、しばらくこの土地には来ない方がいいだろう。
彼の為にも、自分のためにも。
体が、熱い。
彼の血が、魂が体を巡っているのを感じる。啜ったのは量にしてほんの数滴の筈だが、自分の体が生気に満ちていくのが解る。彼と別れてから何人かの人の血を貰う機会があったが、アヤナミにとって彼の血は特別らしい。
久しく忘れていた性欲が擡げているのに気づいて、流石にそれには眉をしかめた。自然におさまるのを待って、弟達と合流するしかない。
そこで一旦弟たちの居場所へ意識をとばして、アヤナミは再度違和感を感じた。一人はいつも通りだが、もう一人の様子がどうもおかしい。
動けないのか、静かに、遠慮するように己を呼んでいる。
中にたまった熱を吐き出すように二度、深呼吸を繰り返すして緩やかな動きで立ち上がり、飛ぶ。
この土地には自分達を拘束できるような人間は居なかったはずだ。類縁者達はいるにはいるが、自分にたてつくような愚かなものではない。
そして、たぐり寄せた気配に疲労の色もない為、何者かにおそわれたわけでもないらしい。何があったのかと意識をとばしても、応えない。
小さく首を振る様子が目に浮かぶようで、そっと息をついた。



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