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02.04  
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題名長いな!


昔言っていたサンタクロースパロから。
一番初めの話の冒頭です。サンタクロースと言っておきながらぜんぜんそれっぽくないですが。

何か途中こんな書き方してるの見たことある!と思ってもスルーしてください。
ふるなさん似たような話しかかけないのよ・・(震え声)


アヤナミさんとミカゲさんのはじめまして
パロディなので色々設定変わってます。
吸血鬼の時にも言っておかないといけなかったのに忘れてたよ!

舞台は冬ですが、夏の夜の空気みたいにぬるい気持ちで読んで下されば幸い



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夜も開け切る前に外に出る。宵闇の中、白いのは自分の吐いた息と、足元の雪。見上げると空は星屑で埋め尽くされ雲の一片も見当たらない。

雨の降る様子の無い空に目を細めると、家の隣に佇む赤レンガの小屋の扉を開けて中に入る。少し漂う、獣の匂い。気にせず中に入ると、翠とも金ともつかない虹彩を持つ髪を揺らして奥にある自分用のソリを取った。

一人用の小さなソリだが、動かすとそれでも小さな音を立てる。なるべく起こさないようにと思っていたが音に敏感な動物は聞こえないはずがなかったようで、格子の向こうで今日の日に備えていたトナカイがむくりと顔を上げた。

「おはよう。ちょっとだけ早いけど我慢してくれな?」

申し訳ないと、吐息に混ぜたくらいの耳を澄まさねば聞こえないほどの声でささやくと、トナカイは了解したとでも言うように尻尾を一度振る。

今日という一日の始まりである。

さくり、






さくり。






さくり。









ぱらり。












アヤナミは、もう一度手紙の内容を読み返すと、目の前にある小さな店へと視線を向けた。
店と言っても、玄関の前に小さな立て看板に店の名前が書いてあるだけで、あとは普通の家とかわりがない。そもそも街から離れた森の中にあるので、人が来るのかも判らない。
それでもそこに店はある。看板には『サンタクロースの店』。分かりやすい、けれども、サンタクロースと呼ばれる者の行為を知っている者にとってはおかしな名だ。

ソリが引いた跡のある道を踏みしめて、静かに店に近づいていく。
ドアノブに手を掛け、扉を開ける直前にふと気になり、本日三回目となる手紙の読み直しを図った。


『私がここからいなくなってしまったら、その年の12月24日の夜、サンタクロースの店に行って下さい。そして、できればそこで一晩過ごしてください。

そしてもし、よかったら、』


「いらっしゃい。」


扉を開けると同時に聞こえて来た声に、手紙へと向けていた意識はその声の主へと持っていかれた。

暖炉の火とランプに照らされた部屋の中、そこかしこに置かれた机の上に小さな雑貨やアクセサリー、人形など種類を選ばず色々なものが置かれている中心に、頬に十字傷をつけた少年が居る。サンタクロース、というからには赤い服を着ているのかと思えばそうではなく、幾重に重ねたカットソーにズボンという一般的な服装をしている。満面の笑顔を浮かべた瞳は琥珀。金に近い若草色の髪がさらりと揺れて、まだ一歩しか中に入っていないアヤナミに近づくとじんわりと暖かい手で外を歩いていた手を引いた。


「外は寒かっただろ?早く入れよ。」


少年は、まるで旧知の人間にでも話しかけているような言葉でアヤナミを招く。
その様子にアヤナミは違和感を感じたが、その少年が再度中へ入るように手を引くと黙って扉を閉め外気を部屋の中から追い出した。


「そっちに座って。コートは椅子の横に。飲み物はコーヒーでいいか?」
「・・・ああ。」


少年に言われた場所は暖炉のすぐ傍、少し大きめの古いロッキングチェア。そのすぐ横にあるコートハンガーに上着と帽子を掛けて、言われた通りに座る。
背もたれに背中を預けると僅かに軋みを上げたが、それだけでアヤナミの、重いとはいえない体を受け止める。クッションの柔らかさと部屋の暖かさに、内心で息をつくと少年が湯気を立てたコップを両手に持ってアヤナミに近づいてきた。


「その椅子、居心地いいだろー?お気に入りなんだ。」
「・・・そうか。」


何を聞いたらいいのか判らず、アヤナミはただ渡されたコップを受け取った。完全に目の前の少年にペースを狂わされていることを自覚したのはこのときだ。だが何か言う前にチェアの前の丸テーブルに体を預けた少年が自分の分のコップを両手に持ち口を開いた。


「多分間違いないと思うけど、一応確認させてもらっていいかな?俺が知っている限りの事を言うから、違っていたら言ってくれ。」


ことりと首を傾げて聞いてくる少年を眺めやる。彼は、いつもこんな風なのだろうか。無言を肯定と受け取ったのか、口に運んだコップを囃すと彼は話し出した。


「貴方はユキカゼという人が亡くなる前に書いていた、クリスマスイブにここを訪ねてほしいという手紙に従いこの小屋にやってきた、アヤナミさん。間違いないかな?」


間違いはないので、黙って頷く。
少年は満足そうに笑うと、あっと思い出したように自分の胸に手を当てた。


「ちなみに俺はミカゲ、な。サンタクロースの一人とでも言った方がいいか。」
「貴様が、サンタクロース?」
「そ。」


眉間に皺を寄せて疑問をつぶやくと、どこかで見たアイドルのように完璧な笑顔を浮かべたミカゲが頷いた。


「厳密には俺はサンタクロースじゃないんだけどな。深夜に家にあがらせてもらって子供たちにプレゼントするわけでもないし。でも、望むものを望む人に渡す役目があるって意味では、同じかな。」


そこで一旦口を閉じると、さして急いでいるわけでもない様子でカップを口に付ける。
息を吹きかけてからすする姿は、ただの少年のそれだ。


「愚かな。」


皺が深くなった自覚を持ちつつ、自分を知る大半の人間が怖いと言う低い声で呟く。


「そんな事できる筈がない。」
「そうだな、普通の大人はそう思うだろうな。」


吐き捨てるように呟かれた言葉に、苦いものを噛みつぶしたような顔で答える。それでも笑みが消えないままなのに眉を潜めると、そんな怖い顔すんなと肩をすくめた。


「だから、そんな風に考えてる大人の望みって言うのは俺たちが叶えるものの中には入らないらしい。あとは、その望みに形が無く世界にとって良くないもの・・・簡単に言ってしまえば、世界征服とかだな。そういうものも、サンタクロースは叶えなくてもいいみたいだ。サンタクロースが叶えるのは、純粋な子供の願いと、たった一片の希望にすがりついてでも叶えたい願いがある人だけ。」


ぱちり、と暖炉の火がはぜる。ふと、渡されたものを一口も口にしていない事に気づき、口に運ぶ。
思いの外良い味のするそれに瞳を細めて、同じようにコーヒーを飲んでいた少年に問いかけた。


「ユキカゼは、そのすがりついてでも叶えたい願いのために、死ぬ前にここに来たのか。」
「すがりついてでも叶えたかったのかはわからないけど、確かにユキカゼさんはここへきたよ。」
「本当か?そんな余暇は無かったはずだが。」


自分が来るときにわかったが、己が従軍している帝国からここへは最速挺を飛ばしてもゆうに片道半日はかかった。さらにこの森付近は常に天候が安定していないために飛行が難しく、故に途中からは歩いてこなければならなかったので、どんなに飛ばしても1日半以上の時間がなければ来れるはずが無く、また彼にそれほどの休暇を与えた記憶も無かった。


「嘘じゃねえよ?」


アヤナミの中の疑問を見透かすかのように呟かれた一言。顔を上げると、やはり笑みを浮かべた少年は、ああ、でもとひとりごちると、やはり独り言を呟いているかのように言葉を発する。


「やっぱり嘘かも。だってこの森の外では、体が壊れたら死んだことになるんだよな。」
「・・・何だと?」


眉間の皺が更に寄るのを感じながらも、アヤナミは睨む事を止めることはしなかった。
だというのに、ミカゲはひるむこともせずむしろそうされるのを予期していたかのように首を傾けるだけだ。だが口は止めなかった。


「この森の中では、魂が"あちら"側に還った時にやっと亡くなった事になるんだ。だから、魂がまだこちら側にいる時は死んだことにならない。特にこの小屋では、その意味は強い。」


とん。カップを置いたミカゲはやはり笑みを・・だが、先ほどとは違い少し眉を寄せ、苦しそうに笑い、言った。


「『ここ』では、魂も形を持てるから。」




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