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02.04  
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書こうとしたのかわすr・・・

ちょっとよそ見した隙に全部跳びました。つらたん。


書こうとしたことは忘れましたが、ブログ開いたので前の記事の続きのやつ置いておきます。

もうすぐ一年の半分が過ぎるね^^






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 血が、自分にとっての生命線ではないと気付いてから、それはぼくにとって可及的速やかに必要なものではなくなった。むしろ、好きじゃない、かも。
 必要な時には頂くし、貰い方が下手な訳でもないけど、僕らにとって人間の血には味があって、その味は大体の人のは愛情を込められた料理に比べたら美味しくないから。
 どうせ食べるなら、美味しいもののほうが良いだろ?
「お疲れ様っした」

 軽くカウンター近くにいる店長に声をかけて裏口から店を出る。
 見上げると白金に輝く月が雲一つない空をこれでもかと明るく照らしていた。
 まだ中点にも差し掛かっていないのを見て、例の場所へ足を向ける。今日もう一度行って、出くわさなければいい加減諦めようと決めて。

 数日前、ある男に助けられた・・・はずだ。

 その日はたまたまり運が良くなかった。自分のファンだと言っていた女のさりげない誘いを断ったら、その女の男らしきやつが数人の男を引き連れて帰り道に絡んできた。
 どうやら女に何か吹き込まれたことらしいのは分かったが、面倒な上腹も減っていたので適当にあしらった所で腹に重い一発を食らわされ、そのまま路地裏に引き込まれ袋叩きにされたところまでは覚えている。

 動けなくなったところで満足したのか、遠ざかる足音に覚えてろよと悪態をつきながら、意識を飛ばした。
 どのくらいそうしていたのかはわからない、不意に聞こえてきた声に急激に腹を空かせていたことを思い出し、顔を上げると茶色い髪の男が片手を鞄に突っ込んだまま驚いたように大きな目を瞬せた。
 今考えれば死んだように倒れていた男が、いきなり起き上れば誰だって驚くところだ。だがその時の自分は、それを気にすることも出来ないくらいにとにかく腹が減っていた。

 男が持っていたクッキーと、ついでにお茶も貰うと、わずかなりとも満たされた体は痛みを思い出す。
 思わず顔をしかめると、男は首を傾げて「どっか痛いの?」と聞いてきた。

「もしかして、見えないところ殴られてる?」
「・・あんたには関係ないだろ」

 膝を抱えるように座ったまま問うてくる男から顔を背けて、自分の近くに落ちていたカバンを引き寄せる。どうやら蘭丸自身のみをどうにかしようと思っていたらしく、鞄を漁られた形跡はない。

「確かに関係ないんだけどさ。その様子じゃ、お仕事にも響くでしょ」

 たぶん、と続ける声にもう一度男を見るとそいつは人差し指で口の端を叩いた。
 そういえば口の中が錆びくさいと手の甲で拭えば案の定赤いものがこびりついている。
「ちょっと腫れてるよ」
「まじかよ」

 腫れているならしばらくはカウンターには入れないだろう。最悪明日1日は休まないといけないと思うと、思わず舌打ちがもれる。顔を殴られたのは1度のみだったから腫れているのもここだけだろうが、なんで全部腹じゃなかったのかと殴った相手を恨んだ。
 そもそも殴られた経緯も腹立たしい。これだから女というものは嫌いなのだ。
 どうするかと考えていると視線を感じた。
 さっきの男がじっと見てきているのだと気付く。そういえばモノをもらったにも関わらず礼を言っていない。
 催促している様子でもないが、言っておいたほうがいいだろうと顔を上げて息が止まった。
ての ひら が

「出血してるし大サービスしちゃう。ぼくから関わっちゃったしね。その傷も治すよ」

 ひたりと顔を覆うと同時に、もう一方の手が血で汚れた蘭丸の手を取る。
 口角を上げたまま男が瞳を細めたかと思うと急激な眠気に襲われて、蘭丸の体が揺れた。
 治すってどうやって。遠のく意識の中で、そんなことを呟いたのまでは覚えている。
 気が付いたら、自分の部屋で眠っていた。
 どうやって帰宅したのかも覚えていないのに、体はシャワーでも浴びたのかさっぱりとして、上に服まで着替えており、何より怪我らしい怪我がまったく見当たらない。
 鞄の中も、もちろん無事。

 どう考えてもあの男がやったとしか思えないのだが、あの男が部屋まで上がってあれこれと世話を焼いた筈の形跡がない。
 だが、治すと言っていたのだから、少なくとも怪我を治したのはあの男なのだろう。
 どうにも礼を言えていないのが気になっていけない。
 なんとなくだが、自分が男と出くわしたのは夜も大分遅い、むしろ朝に近い時間だったのだけを頼りに、似た時間に行けば会えるかとあの場所へ何度が行ってみたが、世の中はそううまく行くものではないと実感する。

 3度目の正直ということわざがある。今日でその3度目。
 男の風貌をもう一度思い出す。溶けたチョコレートにも似た髪と目。悪意を感じさせない少し大きなたれ目になじんでいたスーツ姿。
 あんな時間に出勤、というわけではないだろう、おそらく帰宅途中。ならばと日付を超えたあたりに自分が倒れていた場所に赴き壁にもたれた。

 職業柄、ああいった男たちは何度も目にしている。
 大抵が女連れで来ているためなんとなく職業も分かってしまう。ただ、あの男はそうやって自分が働くバーにくる奴等とは少し違う気がするとは、助けてもらったからだろうか。

 とりあえず一度は話をしてみないと分からないだろうと、空を見上げて耳を澄ます。
 ビルとビルの間から見える狭いそらに月が浮かんでいるのが見える。丸い月。
 最近あれと同じものを見た気がするが、どこだっただろうか。
 昔はよく見ていた。
 夏になると丁度父の書斎の窓から月が見えるようになっていて、そこで仕事をしている父の傍らで夏休みの宿題などを終わらせていた。
 うるさくすると邪魔になると分かっていたのでできるだけ静かにしながら、仕事に没頭する父を時々見ていた。父の仕事をする姿が好きだったのだ。
 必然的に背後に映る月も視界に収めて、ぽっかりと浮かぶ月は蘭丸の目からは自分たちを応援するように、時には冷たく見放すようにも見えていた。

 今はどんな風に自分を見ているのか。
 普段なら逆立ちしても出てこないこと考えている事に眉間のしわを寄せる。昔のことを思い出したのは久しぶりだ。ここ数年は仕事をしていたころの父親なんて思い出したことなかった。思い出してももっと昔の、まだ自分が抱き上げられるような年齢の時のことくらいだ。
 感傷的になるなんてらしくない。
 そう切り捨てて軽く首を振ると足音が聞こえてきたのでそちらに顔を向けるが、歩いてきたのは待っていた人物ではなかった。
 すぐに視線をそらし心の中で舌打ちをうつ。

 じりじりと進んでいく時間に早く来いと腕を組むがそもそも待ち合わせ等もしていない相手を待っているのは蘭丸の勝手だ。
 そもそも蘭丸を帰して連絡先なども残さずに消えたのは相手のほうなのだから、蘭丸がこんなことをする必要はない。
 だから今日で最後だと思っているのだが、なぜか今日は確実に会える気がしていた。
 月が中点を過ぎて緩やかに下がっていく頃に、再び足音が聞こえた。
 こんどは不躾にならないようにとちらりと横目で見ると、それは会えると確信していた男だった。今日もスーツ姿で、この間の鞄とは違うポケットバック。手には紙袋を持っている。
 男は最初蘭丸に気付いていないのか妙に楽しそうに歩いていたが、蘭丸が視線を男にとらえたまま壁から背を放すと視線をこちらに向け男の割に大きな瞳を瞬かせた。

「あれっ」
「よう」

 なんと返せばよいのかわからず、取りあえず返事をすると男は足取りを速めて自分に寄ってきた。
 そんなに自分が待っていたように見えたのかと会おうと思っていたこと自体を後悔しかけたが、口を開いた男が言ったのは若干間違っていた。

「君この間の子だよね?こんなとこでどうしたの~?誰かと待ち合わせ?」
「・・・いや」

 知り合いだから近づいた、くらいの認識だったらしい。
 なんというべきか迷っていると、男は首をこてりと傾けるとあっそうだと言葉を続けた。

「この間の怪我、大丈夫だった?結構重いパンチもらってたみたいだけど」
「ああ・・あの時は助かった」

 男が見透かしたようにこの間の話をしてくれた流れのままに礼を述べて頭を下げると、今度は反対側に頭を傾ける。
 妙に幼いしぐさにこいつは一体何歳なんだろうかという疑問が湧くが、それよりも聞きたいことは他にある。

「怪我直してくれたのあんただろ?お蔭で仕事休まずにすんだ」

 確認も含めて言うと、男は何度か目を瞬かせて、それから状況を理解したのかああ、と言って片方の手のひらをこぶしを作った手で叩くという古典的な方法を取ると、納得したように笑った。

「もしかして、待ってたのってぼくの事?そんなに気にしなくて良かったのに。あっそうだそうだ。」

 礼の続きを言おうとしているのに気付かないのか、男は紙袋に手を入れて何かを探すように音を立てる。前の時はそんなことを気にしている余裕はなかったが、忙しない奴のようだ。
 男が紙袋から出してきたのは、少しだけ見覚えのあるピンク色のラッピング。

「良かったら一緒に食べてくれない?おいしいのはいいんだけど一人じゃ食べきれなくってさ」

 前にあげたのと同じやつだけど、そういって顔まで持ち上げたそれを見て、仕事上がりから何も食べていなかったせいか思わず頷いてしまった。




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