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02.04  
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っていうわけで、前の同タイトルのから続きました。
え?最終巻の感想??まだ気持ちが終わったって思いたくないんだよ言わせるな;;


たぶんしばらくはこんな感じでのんびりHP半分放置しつつTwitterで
「ミカゲえぇぇぇぇぇ!!ミカゲが足らねえぇぇ!!」
って発狂してるかと思います。たまに。

すみません今別ジャンル好きになってて・・・でもミカゲも変わらず好きすぎてつらい。








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トントン、と、微かに扉を叩く音が聞こえた。






風の音ではない、明らかに誰かが扉を叩いた音に、ミカゲはアヤナミに手のひらを見せ小声で「少し待っていて」と言うと、扉に向かって歩きだした。

その間にも、もう一度扉を叩く音が聞こえたので、どうぞ!とミカゲが叫ぶとようやっと扉が開かれた。


「いらっしゃいませ。」


ミカゲがそう言った扉の先にいたのは、厚手のコートに身を包んだ老女だった。大分背が曲がってしまっているその女性は、顔を上げるとほっとしたように笑顔になった。


「こんばんわ。おにいさんや」
「今晩和、お婆さん。今日はどんなご用ですか?」
「お願いがあって来たんじゃが。ここではどんな願いもかなえてくれるとは本当かね?」
「限度はありますが、貴方がここに来れたということは、その願いは叶えられると言うことです」


ミカゲはやや腰を屈めてその女性と視線を合わせると、どうぞ中にお入りくださいと手を差し出した。
自分に対してとはまったく違う対応に、礼儀がないわけではなかったのかとアヤナミが先ほどのミカゲの行動を思い返している間に、老婆は手を引かれ、部屋の中へと入ってきた。

「それは有り難いの。なんせここを探すのに、一週間ばかりかかってしまったから」
「それはご苦労様でした。しかしそうですと、あまり時間もないようですね」

思案するようにゆっくりと言葉を紡ぐと、ミカゲはあまり座高のない、小さな木製の椅子に老女を座らせた。

「そうだね、お爺さんを待たせているから、そろそろ行かなくては」
「では、願いを教えていただけませんか?」



そういうと、ミカゲは老婆の手を両手で包んだまま老婆に問いかける。


「孫にね、プレゼントを用意していたのだけれど、渡せなくなってしまってねえ」



そういうと、老婆は皺だらけの顔をさらに歪めて落胆したかのような深いため息を吐いた。
一瞬、それならばここを探さずとも直接その孫とやらに渡せばよいのではないかと、瞬きを一つ。ある可能性に思い至ってアヤナミはまさかと眉を潜めた。もしそうだとしたら、あまりにもタイミングが良すぎやしないか。



「それは、息子さん達も隠し場所をしらないものなんですか?」

相変わらずミカゲは両手を包んだまま、まっすぐに老婆の目を見上げている。
老婆もミカゲを見つめ返したまま、ゆっくりとうなづいた。

「用意をしていたことは知っているだろうし隠し場所もわかるだろうけど、あれの開け方は私しか知らないからねえ」
「・・・仕掛け箱のようなものに入ってるのですか?」
「そうさね。何度か開けようとしていたみたいだけど、無理みたい名のでね。」

あいた手を頬にやり、老婆は深いため息をついた。
どうやら相当困っているらしい。
ミカゲも両手をもったまま考え込んでいるのか、目を伏せ考えるように視線をさまよわせたが、ぱっと顔を上げると面白いことを思いついたかのように笑った。



「箱を開けようとしたのは、息子さんだけですかね?」
「そうだね。あの子しか試していないみたいだよ」
「では、その箱自体もクリスマスプレゼントにしてしまうのはどうでしょう。子供にとっては、仕掛けを解いて宝物を見つけるのは楽しいと思いますよ」



にこやかにミカゲが言うと、老婆は一瞬驚いたように目を見開いたか、すぐに笑顔になった。


「うん、うん・・・それは良いだろうね。あの子は私に似てパズルが大好きだし、きっと開けてくれるだろうね。」
「それでは、貴方の『孫にクリスマスプレゼントを渡したい』と言う願い、サンタクロースが叶えましょう。」


嬉しそうにミカゲが目を細めると、一瞬だけミカゲが発光し瞬く間に消えた。目の錯覚だろうかとアヤナミは目頭を押さえ込む。ユキカゼからの手紙の内容を守るためとはいえ、ここ数日無茶をし過ぎたのかもしれない。
実際、老婆はなにも気づかなかったのかその現象には無反応だ。


「今年あげたいと思っているのだけれど、間に合うのかしら」
「大丈夫ですよ。貴方がそう思っているのなら」


当然のように言ってのけるミカゲに、老婆はそうかいと安心したように笑って、

そして、消えた。


「・・・なんだ?」


あまりに唐突に、瞼を一瞬おろしてしまっている間のそんな刹那の間にいなくなってしまったかのように、老婆のいた場所には寂しそうな椅子があるだけだ。
ミカゲは笑みを浮かべると頭の後ろを指先でかきながらゆっくりと立ち上がった。


「お婆さんに言ってただろ?時間がないって。ぎりぎり間に合って良かった。」


椅子を元にあった場所に直すと、ミカゲは先ほどと同じように丸テーブルに軽く体重を預け、コーヒーを一口。
意味が分からないと黙って見ていたアヤナミに向き直り、ミカゲは視線を和らげる。


「ユキカゼさんもああやって来たんだ。時間はだいぶあったから、さっきの人みたいに忙しなかった訳じゃなく結構色んな話をしたけれど。丁度今アヤナミさんがいるところに座ってもらって、時間が来るまでプレゼントに関係ない話もした」
「時間、というのは」
「体のない状態で、ここにいれる時間」
「そうか」


火の粉が爆ぜる。
アヤナミの体は渡されたコーヒーと暖炉からの温度で既に外の寒さを忘れてしまっている。
肘掛けに手を滑らせて一年前に彼がここにいたのかと、ゆるく目を細めた。


「信じ難い話ではあるが、手紙を見る限り本当のようだな」


死んでしまった筈の部下から、11月の終わりに届いた手紙。
自分も、ヒュウガすらも存在を知らなかったその手紙の末尾に記載されていた日付は3年前のものだった。
3年も前のものが何故今頃届いたのかわからなかったが、見間違えようもないその筆跡は確かにユキカゼのものだと、断言できるほどには彼との付き合いが短いわけではない。
生憎記憶力の良かったアヤナミは、彼から妙な話を聞いていたことを思い出してしまったのだ。


「ひとつ確認したいのだが、体がある人間でもない状態でここに来ることは可能なのだな?」
「そういう人はまれだけどね。来ても、なんで自分がここに来たのかわかってないひとが多いから困っちゃう人たちだけど!来ても数年に1回とかだからいい刺激にはなるなぁ。ああ、そういえば。」


コーヒーカップがいつの間にかテーブルに用意されていたコースターの上に、音もなく置かれる。
何が楽しいのか、微笑みを絶やさない少年は懐かしそうに目を細めて体の前でゆるく指を絡ませた。


「ユキカゼさんも、そこに座って色んな話をしてくれた」
「・・・そうか」


ただ笑っているはずなのに、何故かそれ以上の言葉を紡げず、アヤナミは残ったコーヒーに口をつけた。
老成した人間が数十年前をなつかしむように紡がれた言葉の重さは一体何なのだろうか。




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